多すぎるエクストラバージンオリーブオイルの正体
「身体に良いオイル」というだけあって、今ではコンビニやスーパーでも手軽にオリーブオイルを購入することができます。価格は数百〜2千円前後でしょうか。お店によっては5千円以上の商品が並んでいます。
ほとんどのラベルには
「エクストラ(エキストラ)バージンオリーブオイル」
「ピュアバージンオリーブオイル」
と書かれています。
どちらも魅力的だとは思いませんか?
「エクストラ(エキストラ)」ならゴージャスで特別な雰囲気、
「ピュア=Pure」と言えば混じり気がない、若い、フレッシュなイメージ。
もう何がなんだかわからない!
と思いながら好みのラベルに手が伸びた。
一番お得感のある大容量を買った、というご経験はないでしょうか?
本題です。
お気付きの方も多いかと存じますが、曖昧な表記に私たち消費者は悩まされています。特に日本国内でボトリングしている商品にその傾向が多く見られますが、これはオリーブ油についてIOC(国際オリーブ協会)とJAS(日本農林規格)の基準が大きく異なるのが一番の理由です。
文字を並べてもわかりづらいので、表にまとめてみました。
表の上側がIOCの基準、下の小さな枠がJAS規格です(2018.2.10更新)
酸価と酸度:
油脂の精製および変質の指標となる数値のひとつで劣化の指標になります。IOCは酸度、JASは酸価で表示しますが、酸価とは遊離脂肪酸を中和するために必要な水酸化カリウム量で、酸度(%)=酸価(mg)✕0.503という関係になります。
JASの分類はわずか2つ:
エクストラバージンオリーブオイル(EVOO)の評価基準がありません。
つまり酸価/酸度の条件さえ満たせばなんでも良い。精製オリーブ油に少しEVOOを加えた商品をエクストラ(エキストラ)バージンオリーブオイルと表記することが許される=多すぎるEVOOの正体です。
さらに、精製されるオイルにはそうしないといけない理由があるわけですが、それにEVOOを加えたものが ピュアオリーブオイルと呼ばれる。つまりピュアとは本来あるべき成分が取り除かれた状態=混じり気がないという点だけが正しく、事実は日本語に騙されている・・と感じるのは私だけでしょうか。
参考までに、IOC加盟国はオリーブ栽培が盛んな地中海沿岸諸国や南アフリカの一部が中心ですが、その割合は生産国の97%に登ります。日本は未加盟国とはいえ、 本来ならEVOOとして販売できない商品が流通するのは偽装と言われても仕方ありません。一日も早く基準が統一されて欲しいものです。